手紙を書くときには、書き出しや結びにはその季節にあった文言を添えるのが一般的。
ですが、どのような言葉を入れるのかはその人との関係によって異なるため、「いわゆる」という時候の挨拶だと堅苦しくなりすぎてしまうこともあります。
春が近づくと、卒業や入学などで新しい環境に進むことも多く、手紙を書く機会も増えるのではと思います。
ビジネスほどあらたまった関係ではないけど、くだけきった言葉を交わすほどのフランクな仲でもない。
そんな人への手紙には、柔らかい表現を使った時候の挨拶がおすすめです。
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春に出す手紙の時候の挨拶で気をつけたいこと
時候の挨拶が同じ季節でも微妙に違っているのは、二十四節気を元にしていることが多いため。
一年を春夏秋冬の4つに分け、それをさらに6つに分けて全部で24。
今でもよく使われている「春分」「夏至」なども、二十四節気の名称の一つです。
時候の挨拶は、二十四節気をもとに考えると、よりその時期にピッタリな言葉を選ぶことができます。
現在の季節の感覚とは少し違うため違和感を抱く方もいるかもですが、「暦の上ではもう春ですが~」のような定番の挨拶は、二十四節気をもとに考えているからこそとも言えそうです。
時候の挨拶はマイナスの言葉で終わらせないほうが好印象
春の始まりである立春はだいたい2月4日ころですが、実際の2月はまだまだ寒く、春とはとうてい思えないほど底冷えする季節です。
テレビなどのメディアでも「暦の上ではもう春なのに今日も寒い一日で~」などを聞くのもこの時期です。
話しているとそれほど違和感のないフレーズではあるんですが、「寒い!」というマイナス要素を最後にもってくると、手紙の書き言葉としてはやや暗い印象になってしまいます。
そんなときは、順序を入れ替えたり、安否を気遣う言葉を付け足したりするのがポイント。
「暦の上ではもう春なのにまだ寒い日が続いています。」
→「まだ寒い日が続いていますが、暦の上ではもう春ですね。」
→「暦の上ではもう春なのに寒い日が続いていますが、お元気でお過ごしでしょうか。」
寒いです!と宣言するよりも、少しマイルドな印象にすることができます。
春は環境の変化が多いので相手に合わせた言葉を
春は環境の変化が訪れる方も多い季節。
入学や進級、入社や転勤など、今までの生活がガラッと変わるという人も少なくないですよね。
相手が親しい人であるなら、その人の状況に合わせた言葉選びをすると、より丁寧です。
「お子様の入学式もまもなくですね。」
「そちらに赴任されてから○○年になりますが、いかがお過ごしでしょうか。」
など具体的に書くことで、定型文ではなくその人に向けた言葉であることが伝わりやすくなります。
春の代名詞である桜は開花時期を意識して使う
春に出す手紙では、日本の春の代名詞でもある桜の花を使う挨拶文が多いです。
「桜のつぼみが~」「満開の桜を~」などなど。
パッとその姿を想像することができるので、時候の挨拶としてはピッタリです。
ですが、日本は南北に長いため、桜の開花時期が地域によって大きく異なります。
九州などでは3月中旬に開花する桜ですが、北海道の開花時期はゴールデンウィーク頃。
自分が住んでいる地域を中心に考えてしまうと、他地域の方にとっては「あれ?」と不自然に感じられることもあります。
だいたいの開花時期を調べたうえで、
「そちらでは桜が満開を迎えているころでしょうか。」
など、相手の地域の状況を思いやった表現を選ぶといいのではないかと思います。
春の手紙に使える柔らかい表現の時候の挨拶
2月初旬~中旬の立春の時期
2月4日頃~2月18日頃が立春の時期。寒さが峠を越え、春に向かう時期ですね。
書き出しの文例
・まだまだ寒い日が続いていますが、暦の上では春となり、気分が明るくなります。
・ようやく日足も伸びてきたようで、子どもたちの心も弾んでいるようです。
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・つい最近までは恵方巻のポスターでしたが、今はバレンタインに変わりましたね。
・こちらではかわいらしい梅のつぼみが見られるようになりましたが、そちらはいかがでしょうか。
結びの文例
・本格的な春の到来を楽しみに、まずは書中まで。
・梅のほころびを心待ちにしながら、まずは書中にてご報告まで。
・まだ寒い日が続きますので、お風邪など召しませぬよう。
2月中旬~3月初旬の雨水の時期
2月19日頃~3月5日頃が雨水の時期。雪が雨になり、氷が水になり春の訪れを感じ始める時期です。
書き出しの文例
・梅の香りがただよう季節となりました。
・今年は久しぶりにひな人形を飾り、心も新たに3月を迎えました。
・お子様の初節句がまもなくですね。
・日増しに春めいてまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
・陽射しに春らしさを感じる機会が少しずつ増えてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
・春一番が吹き、寒さもようやく和らいできました。
結びの文例
・うららかな春が、お互いに良い季節になりますように。
・季節の変わり目ですので、くれぐれもご自愛ください。
3月初旬~3月中旬の啓蟄の時期
3月6日頃~3月20日頃が啓蟄。
啓蟄は、地中に閉じこもっていた虫や動物が冬眠から覚め外に出てくる時期。うららかな春の陽気が感じられ始める時期ですね。
書き出しの文例
・お子様の卒業式も間近となり、お忙しい日々をお過ごしのことと存じます。
・年度の切り替わりを間近に控え、お忙しい毎日を過ごしていることと思います。
・桃のつぼみもふくらみはじめ、子どもを外で遊ばせることもふえてきました。
・色とりどりの花が咲き、街が春らしく彩られ始めました。
結びの文例
・お子様の巣立ちの春を、心から応援しております。
・桜便りが待ち遠しいこのごろ、どうぞご自愛くださいませ。
3月中旬~4月初旬の春分の時期
3月21日頃~4月4日頃までが春分の時期。
昼と夜の長さがほぼ同じになる春分。これを過ぎるとだんだんと、昼の時間が夜よりも長くなり、本格的な春になります。
書き出しの文例
・吹く風も柔らかくなってきました。
・こちらでは桜が見ごろを迎えておりますが、そちらではいかがでしょうか。
・4月からの新生活に向けて、準備にお忙しい日々をお過ごしと存じます。
・こちらでは桜のつぼみが膨らみ始めましたが、○○ではいかがでしょうか。
・春の空が美しく晴れ渡っておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
結びの文例
・こちらではまもなく桜が見ごろを迎えます。またお花見をご一緒したいですね。
・新年度を迎えお忙しいとは存じますが、くれぐれもご自愛ください。
4月初旬~4月中旬の清明の時期
4月5日頃~4月19日頃までが清明。
すべての生物が清らかな明るさに満ちるという時期で、春爛漫の季節です。
書き出しの文例
・お子様の入学式を迎え、希望にあふれる輝かしい春をお過ごしのことと存じます。
・早足に葉桜の季節となりましたが、そちらではいかがでしょうか。
・新一年生のかわいらしい声に、思わず窓の外に目を向けてしまうこのごろです。
・春の陽気に誘われて、新しいことを始めてみようと思いつつ重い腰がなかなか動かないこのごろですが、いかがお過ごしでしょうか。
結びの文例
・うららかな春風とともにまずは書中にて。
・新年度の慌ただしい毎日をお過ごしと存じますが、くれぐれもご自愛ください。
4月中旬~5月初旬の穀雨の時期
4月20日頃~5月5日頃までが穀雨の時期。
「穀物に実りをもたらす雨」という意味で、穀物の種をまくのに適した時期です。
書き出しの文例
・うららかな春日和が続いております。
・薄手のコートだと汗ばむ陽気が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
・春の陽気に照らされたこいのぼりを見かける季節となりました。
結びの文例
・連休中、お時間がありましたらぜひこちらにもお立ち寄りください。
・咲きほこる花々とともにまずは書中にてご報告まで。
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